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劇的勝利

男子ゴルフの今季最終戦、日本シリーズJTカップは8日、東京都稲城市のよみうりCC(7023ヤード、パー70)で最終ラウンドを行い、33歳の宮里優作が通算13アンダーで逃げ切り、ツアー参戦11年目で悲願の初勝利。

最後はグリーン右からの劇的なチップインパーで優勝を決めた。「今日はまったく展開が読めなかった。最後のアプローチは、何とかグリーンの上に止まってくれと願っていたので、まさか入るとは思わなかった。

プロ11年目、渾身のガッツポーズ

雄叫びを上げ、拳を振りおろし、プロ転向後11年目で初めて作った勝利のガッツポーズ。

「やっと勝てました。これが腰を抜かすというものなのか、と分かりました。いつも最終日にガッカリさせることが多かったけど、今日はいい意味で裏切ることができました」。

前夜は午後10時にベッドに入るも寝付けず、眠りについたのは午前4時。全然体が動かなかったという1番(パー4)で、バンカーからの第4打がピンに当たって止まり、ボギーでしのぐ運に恵まれた。

ここまでの道は決して平坦ではなかった

ジュニア時代に8勝を挙げ、東北福祉大学に進学するとアマチュア時代に日本アマチュアゴルフ選手権競技、日本学生ゴルフ選手権競技など主要タイトルを総ナメに。

だれもがすぐに頂点をつかみ取る逸材と信じて疑わなかった。しかし、その手に勝利をつかむことがないまま11年が経過。昨年は腰痛から7試合連続予選落ちも経験し「あきらめかけたこともあった」。

勝利への難しさを根本から理解しているのは、本人以外なかった。

結果が出ない日々

初優勝は時間の問題といわれながら10年が過ぎた。

3兄妹の中でも一番の練習の虫。勝利のためにコツコツと努力を重ねてきた。

ショット技術は誰もが日本有数の持ち主だと認めている。だが、コースでそれが表現できない。いつしか、なかなかチャンスをモノにできない自分のことを「僕は“練習場プロ”」と自虐的に言うようになった。

宮里優作を変えた青木功の言葉

かつては「優勝」の2文字を口にすることがなかったが、9月の東海クラシックの時に初めて「優勝してくる」と宣言。勝利を意識し始めた。

宮里は数年前のオフに青木のアメリカ合宿に参加。真面目な性格が裏目に出てスイングやスコアばかりを気にしていた宮里だったが、青木から「スコアとかショットとか関係ないから、自分がどうやって戦うかをイメージしろ」とアドバイスを受けた。

打のミスで調子を崩していた完璧主義からの脱却。変化を求めて、ホールアウトまでスコアを記入しなかったり、ピアスをしたり、葉巻をたしなむことまでした。「同じテンションでプレーするようにした」。プレー中に一喜一憂しなくなった。

「スコアばっかり見てゴルフをしていたから、そういうのを取り払うところから始めた。スコアを全くつけずにゴルフしたりとかしていましたね」。数字や形ではなくあくまで勝利をつかむために自分が今何をするべきか。

家族に支えられつかんだ勝利

妹の藍や両親がグリーンサイドで見守る中、グリーン右ラフからウイニングショットとなるチップインパーを奪うと、宮里優はひざから崩れ落ち、両目からは歓喜の涙がとめどなく流れた。

宮里は「諦めかけたこともあったけど、周りのスタッフや家族に支えられてやっとここまで来ることが出来た」と涙ながらに語った。

両親、優作の妻・紗千恵さん、スタッフらと涙で勝利の喜びを分かち合った。

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